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5話 怖くて厳しい魔術師団長へのルナの恐怖とレイニーの期待

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-10-22 12:26:20

 ルナがレイニーに、小声で話し掛けてきた。「怖くて厳しくて有名な魔術師団長ですよ……」その声は、恐怖に震えていた。

「……ま、まじかぁ……お手本を見せてくれるだけなら嬉しいけど」

 レイニーは、少しばかり緊張しながらも、期待を抱いた。

「そんな訳ないじゃないですかぁ……お手本の後に練習ですよぉ……」

 ルナの表情が、みるみるうちに暗くなっていった。その声には、絶望感が滲み出ている。あ、でも……ファイアショットが撃てるようになったんだよね? 嬉しそうに話してたし。レイニーは、ルナの言葉に、わずかな希望を見出した。

♢王族専用魔法練習場

 怖そうな魔術師団長の後を追って一階分上がると、二人は王族専用の屋内魔法練習場へとたどり着いた。重厚な扉が開くと、広々とした空間が目の前に広がった。

「さて、魔法が見たいと言っておりましたな。いったい、どのような魔法が見たいのですかな?」

 団長は、レイニーをじっと見つめ、どこか不思議そうな表情で問いかけてきた。その声には、レイニーが何を知っているのかを探るような響きがあった。

 どんな魔法って聞かれてもなぁ……。どんな魔法でも良いんだけど。ルナが出来るようになったというファイアショットかな、他の魔法は知らないし。レイニーは、団長の鋭い視線から逃れるように、視線を泳がせた。

「ファイアショットを見てみたい……かなぁ」

 レイニーが、無邪気に目をキラキラと輝かせ、心から楽しみそうな顔をして言うと、団長は眉間に皺を寄せ、首を傾げて聞き返してきた。その表情には、不審と、かすかな怒りが混じっていた。

「レイニー様は、確か中級魔法までお使いになられていましたよね? 私を試しておられるのですかな?」

 自分が試されていると感じた団長は、みるみるうちに不機嫌そうな表情へと変わっていった。その場の空気が一瞬で張り詰めるのを感じ、レイニーは慌てて言い訳を始めた。

「あ、その……中級魔法ですと危険ですし……基礎が大切だと本にも書いてありましたので。下級魔法のキレイなお手本を見て覚え直そうかと」

 レイニーは、精一杯の笑顔を作り、必死に言葉を紡いだ。これで、ごまかせたかな……? レイニーの心臓は、ドキドキと高鳴っていた。

「ほぉ。さすが魔法好きなレイニー様ですな……」

 団長が何度も大きく頷き、心底感心したような表情へと変わり、機嫌が良さそうな顔になったので、レイニーはホッと安堵の息をついた。その表情には、緊張から解放された安堵と、かすかな達成感が浮かんでいた。

「今日は、私が特別に講師になりましょう。存分に練習をして下さい」

 団長は、口元に笑みを浮かべ、嬉しそうに言ってきた。その声には、レイニーの魔法への情熱を汲み取ったような温かさが感じられた。

「その前に、団長さんのお手本をお願いねっ♪」

 レイニーが、期待に満ちた瞳をキラキラと輝かせ、団長をじっと見つめて言うと、団長は満面の笑顔で頷き返した。

 ここの施設は、王宮の一角に位置する王族専用の屋内魔法などの練習場で、その壮麗さと威厳で訪れる者を圧倒する。高くそびえる大理石の壁に囲まれたこの場所は、外界の喧騒から隔絶され、神秘的な静けさが漂っている。入口を通ると、まず目に飛び込んでくるのは広々としたホールで、天井には豪華なシャンデリアが煌びやかに輝き、その光が大理石の床に反射して場内を柔らかく照らしている。空気は澄んでおり、微かに魔力の香りがするような気がした。

 床には、巨大な魔法陣が複雑な模様で緻密に描かれており、その中央に立つことで魔力を効率的に回復させることができる設計となっている。魔法陣の周囲には、小さな魔法の紋様がまるで星のように散りばめられ、それぞれが魔法のエネルギーを流れる導管の役割を果たしている。その紋様からは、かすかに魔力が脈打つような感覚が伝わってくる。

 練習場の一角には、五人ほどが横に並んで魔法を放つための訓練スペースが設けられている。ここには魔法の標的となる的が五十メートル先に配置され、訓練者が集中して練習できるように隣との間には高さのある仕切りが設けられている。誤って魔法が的から外れても安全なように、壁には視認できないほどの強力な結界が幾重にも張られているのが、魔力の流れから感じ取れる。

 そのうちの一つのレーンには、ルナのように魔法の初心者や魔力の弱い者が使用するための特別な可動式魔法練習スペースがある。このスペースは、訓練者が自分の実力に合わせて的との距離を自由に調整できるように設計されており、最短で距離の半分の場所から魔法を放つことができる。スペース内には透明で頑丈な防護壁が設置されており、訓練者をしっかりと守りつつ、指導者がその動きや魔力の流れを細かく確認し、容易に指導できるようになっている。防護壁越しに、かすかに漂う魔力の残滓を感じ取れる。

 さらに奥には、魔法の研究室や実験室が幾つも並ぶエリアが広がっている。ここには最新の魔法研究設備が整い、古代の魔法書や錬金術の道具が所狭しと、しかし整然と並べられている。窓から差し込む自然光が、部屋全体を明るく照らしており、静かな環境で魔法の理論を深めることができる、まさに知識の殿堂といった趣だった。

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